一日中しゃくり続けるジギングは、まさに体力勝負。
特にスピニングタックルでのハイピッチジャークは、翌日に腕や肩が上がらなくなるほどの疲労感をもたらすことがありますよね。
私も始めたばかりの頃は、疲れないフォームや脇の締め方も知らず、ただ力任せにロッドを振っていました。
その結果、ワンピッチジャークのリズムは掴めず、ロッドが硬すぎるせいかすぐにバテてしまい、ベイトタックルとの比較ばかりしていました。
でも、安心してください。スピニングジギングの「きつい」と感じる疲労は、ちょっとしたしゃくり方のコツやタックルバランスの見直しで、劇的に改善できるんです。
この記事では、なぜスピニングジギングが疲れるのかという根本的な原因から、引き抵抗が少ないジグの選び方、さらには事前準備としての筋トレや釣行後のストレッチまで、私が実践して効果があった疲労対策を網羅的に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、あなたも「疲れるジギング」から卒業し、もっと楽に、もっと楽しく一日中しゃくり続けられるヒントを得られるはずです。
この記事のポイント
- スピニングがベイトより疲れやすい理由
- 脇を締める「疲れないフォーム」の具体的なコツ
- ロッドの反発を使った楽なジャーク(しゃくり方)
- 疲労を軽減するタックルやジグの選び方
スピニングでジギングが疲れる・きつい原因

スピニングジギングが「疲れる」「きつい」と感じるのには、明確な理由があります。タックルの特性から、知らず知らずのうちに体に負担をかけるフォームになってしまっていることまで、まずはその原因を特定することが疲労軽減の第一歩です。
ベイトタックルとの疲労度の比較
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ジギングにはスピニングタックルとベイトタックルがありますが、「疲労度」という観点だけで見ると、ベイトタックルに分があることが多いですね。
ベイトリールは、構造的にハンドルを回す力が強く(巻き上げトルクがある)、ジグを巻き上げるのがスピニングリールよりも楽です。
特に水深がある場所や、重いジグを使う場合、その差は歴然。魚とのファイト(格闘)でも、ゴリゴリと巻き上げやすいのが特徴です。
一方、スピニングタックルは、構造上、巻き上げパワーではベイトに一歩劣ります。
その代わり、ジグをキャスト(投げる)して広範囲を探ったり、ロッドを大きくあおってジグを跳ねさせる「ハイピッチジャーク」で魚を誘ったりするのが得意です。
ポイント
- ベイト: 巻き上げが楽。重いジグや深場に強い。疲れにくい。
- スピニング: キャストやハイピッチジャークが得意。反面、巻き上げは力が必要。
つまり、スピニングジギングは、その得意とする「ハイピッチジャーク」という動作自体が、腕や肩に連続的な負荷をかけるため、ベイトタックルでのジギングに比べて「疲れる」「きつい」と感じやすいわけです。
疲れないフォームと脇の締め方
スピニングジギングで最も疲労を蓄積させる原因の一つが、「間違ったフォーム」です。
よく見かけるのが、ロッドのグリップエンド(竿尻)を「肘(ひじ)」で支えたり、脇の下で固定せず不安定な状態でしゃくったりするフォーム。これ、実は一番疲れるやり方なんです。
このフォームだと、ロッドの操作をすべて「腕の力」だけで行おうとするため、すぐに腕や肩がパンパンになってしまいます。
疲れないための正しいフォームは、「グリップエンドを脇にしっかりと挟み込む」こと。
脇でロッドを固定することで、支点が安定します。これにより、てこの原理がうまく働き、「腕」ではなく「背中(広背筋)」や「体幹」といった体の大きな筋肉を使ってロッドを操作できるようになります。
腕はあくまでロッドを支え、リールを巻くための補助的な役割になるイメージですね。
実際にやってみると分かりますが、脇に挟むだけでロッドが驚くほど安定し、「軽い力」でジャークできるようになりますよ。
ロッドの反発を利用した楽なしゃくり方
「ジグを腕力で持ち上げよう」とすると、必ず疲れます。
ジギングが上手い人、疲れていない人は、腕力ではなく「ロッドの反発力」を最大限に利用しています。
どういうことかと言うと、
- ジグがフォール(落下)し、ラインが張る。
- しゃくり上げる瞬間に、ジグの重みと水の抵抗をロッドにしっかり乗せる(ロッドを曲げる)。
- 曲がったロッドが元に戻ろうとする「反発力(復元力)」を利用して、ジグを弾き飛ばす。
この一連の動作が重要です。
力任せにロッドをブンブン振り回すのではなく、ロッドに「ジグの重さを受け止めさせて、タメを作る」意識が大切。ロッドが一番曲がりこんだ(負荷がかかった)タイミングで、最小限の力で「スッ」とロッドを立ててあげるだけで、ジグは勝手に動いてくれます。
腕力でしゃくるのではなく、ロッドを曲げる仕事だけをして、あとはロッドにジグを飛ばしてもらうイメージ。
この感覚が掴めると、振り幅も「8時から10時」程度のコンパクトな動作で済み、疲労度が劇的に変わってきます。
ワンピッチジャークのリズムのコツ

スピニングジギングの基本であり、奥義でもあるのが「ワンピッチジャーク」。これは「しゃくり1回、ハンドル1回転」を繰り返す動作です。
これが疲れると感じる人は、「ロッド操作」と「リール操作」のタイミングがズレていることが多いです。
疲れないワンピッチジャークのコツは、2つの動作を「同期」させること。特に、「ロッドを下げる動作」と「ハンドルを回す動作」を同時に行うのがポイントです。
疲れないワンピッチのリズム
- ロッドを上げる(しゃくり): この時、リールは巻かない。ロッドの反発でジグを飛ばす。
- ロッドを下げる: この下げると同時に、ハンドルを1回転させる。
この「ロッドを下げながら巻く」動作ができると、ジグが飛んだ後の糸フケ(ラインスラック)を素早く回収でき、次の「しゃくり」の準備(ジグの重みをロッドに乗せる動作)にスムーズ移行できます。
この一連の動作がリズミカルにできるようになると、無駄な力が抜け、長時間しゃくり続けても疲れにくくなります。最初はゆっくりでいいので、メトロノームアプリなどを使って、一定のリズムを体に覚えさせる練習も効果的ですよ。
ロッドが硬すぎると疲労の原因に
「大物を釣りたいから」と、必要以上に硬い(パワーのある)ロッドを使っていませんか? 実は、「硬すぎるロッド」は疲労の大きな原因になります。
先ほど「ロッドの反発を利用する」と説明しましたが、ロッドが硬すぎると、自分の力でロッドを十分に曲げ込むことができません。
ロッドが曲がらなければ、反発力も生まれませんよね?
結果として、ロッドの反発を使えない分を「腕力」で補おうと、力任せのジャークになってしまうんです。これでは疲れるのは当然です。
硬いロッドは重いジグを動かせますが、同時に「バイトを弾きやすい」「重い傾向にある」といったデメリットもあります。
自分が楽に曲げ込める、反発力を感じられる範囲のロッドを選ぶことが、疲労軽減の近道になります。
スピニングでジギングの疲れる・きつい対策

原因がわかれば、対策は明確です。ここからは、スピニングジギングの「きつい」を解消するための、具体的な装備戦略(ギア)と身体の準備(コンディショニング)について解説します。
疲れないタックルバランスの組み方
タックルは「ロッドが硬すぎないか」という点以外にも、バランスが重要です。
リール番手: 近海のブリなどを狙う場合、スピニングリールのメインは6000番~8000番クラスが一般的です。
ただ、水深が浅いエリアや、ジグが軽い場合は、不必要に大きなリールは重さで疲れる原因になります。状況に応じて4000番~5000番クラスのライトなタックルを使い分けるのも、疲労軽減の戦略です。
PEラインの太さ: 見落としがちなのが、PEラインの太さ。ラインは太ければ太いほど、潮の流れの影響(水流抵抗)を受けやすくなります。
ラインが太すぎると疲れる悪循環
- 太いラインが潮に流される。
- ジグが底に着くのが遅くなる、または底が取りにくくなる。
- 底を取るために、必要以上に重いジグを使わざるを得なくなる。
- 重いジグをしゃくるため、さらに力が必要になる。
- 結果、ものすごく疲れる。
対象魚のサイズや水深、根ズレのリスクなどを考慮しつつ、可能な範囲で「細いPEライン」を選択すること。
これもジグの操作感を軽くし、疲労を減らすための重要なテクニックです。
引き抵抗が少ないジグの選び方
ジギングの疲労は、ジャーク時の「引き抵抗」が大きく影響します。
しゃくった時に「ズシッ」と重いジグと、「スッ」と抜けるように軽いジグがありますよね。
一般的に、引き抵抗を少なく、楽にしゃくりたい場合は、以下のような特徴を持つジグがおすすめです。
1. 左右非対称・スライド系ジグ 形状が左右非対称であったり、フロント(前方)寄りのバランスに設計されているジグは、軽い力(ジャーク)でも自ら横を向き、スライドしたりヒラヒラとフォールしたりするように作られています。アングラーが力ずくで動かすのではなく、ジグが勝手に仕事をしてくれるイメージですね。中には「ジャークを入れた時の引き抵抗が少なく感じます」と明記されているジグもあります。
2. 高比重タングステン(TG)ジグ 疲労軽減の「切り札」とも言えるのが、タングステン素材のジグです。 タングステンは鉛よりも比重が非常に高いため、同じ重さ(例:200g)でも、鉛のジグに比べて圧倒的にシルエットが小さく、スリムになります。
この「小さくスリムな形状」が、水中で受ける抵抗を劇的に減らしてくれます。結果、しゃくる力が格段に少なくて済み、フォールスピードも速いため、底取りも楽になります。特に潮が速い時や深場では、その差は歴然です。
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疲労軽減のための筋トレと準備
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ジギングは「釣りの中でもかなりの体力もの」です。技術や道具でカバーしきれない部分は、やはり身体の準備(コンディショニング)がものを言います。
とはいえ、本格的なトレーニングは必要ありません。私がおすすめするのは、「ジギングを想定した軽いダンベル運動」です。
3kg程度のダンベル(水を入れたペットボトルでもOK)を持ち、正しいフォーム(脇を締めて)を意識しながら、実際のジャークをイメージして20回~30回ほど動かします。
これを釣行前の1週間、毎日やるだけでも、釣行当日の体の感覚は「全然違う」はずです。これは、ジギングに必要な筋肉(特に広背筋や体幹)に「これからこの動きをしますよ」と、刺激を入れて目覚めさせる効果があるからだと私は考えています。
補足: 鍛えるべきは「広背筋」
疲れないジャークは「背中(広背筋)」で引くのがコツです。腕の力(上腕二頭筋)で引こうとすると、すぐに疲れてしまいます。筋トレをする際も、腕で引くのではなく、「肩甲骨を寄せる」「肩甲骨を下げる」といった意識で、背中の筋肉に刺激を入れるのがポイントですよ。
釣行後に必須のストレッチとケア
ジギングで「疲れる」のは仕方がありません。問題は、その疲労を放置することです。
釣行後、体が熱を持っているうちに、使った筋肉をしっかりと伸ばしてケアすることが、翌日の疲労感や、将来的な「五十肘」「六十肘」といった慢性的な痛みを防ぐ鍵になります。
特に以下の部位は入念にストレッチしましょう。
- 肩・脇・広背筋: ジャークで最も酷使する部分です。片腕を頭の後ろに曲げ、もう片方の手で肘(ひじ)をつかみ、体を真横に倒して脇を深く伸ばしましょう。呼吸は止めないでくださいね。
- 腰・お尻: 船の上でバランスを取るために、腰やお尻の筋肉も想像以上に疲れています。足を組んで座り、お尻の筋肉を伸ばすストレッチなどが有効です。
- 股関節(腸腰筋): 片膝立ちになって体重を前にかけ、後ろ足の股関節前面を伸ばします。
痛みが続く場合は専門家へ
ストレッチやセルフケアは、あくまで疲労回復と怪我予防のためのものです。もし肘や肩に「痛み」が続く場合や、違和感が消えない場合は、「ジギングのし過ぎ」による炎症などの可能性もあります。我慢せず、早めに整形外科などの専門医に相談してくださいね。
スピニングでジギングをすると疲れる・きつい問題の総括
さて、ここまで「スピニング ジギング 疲れる きつい」という問題について、原因と対策を詳しく見てきました。
スピニングジギングの疲労は、単一の原因ではなく、
- フォーム(技術): 腕力に頼った非効率なしゃくり方。
- タックル(道具): 硬すぎるロッドや、潮の抵抗を受けるライン・ジグ。
- ボディ(身体): 運動の負荷に対する準備不足とケア不足。
これら3つの要素が複雑に絡み合って発生していることが、お分かりいただけたかなと思います。
「脇を締め、ロッドの反発を使い、リズム良くしゃくる」
この基本のフォームを習得し、それをサポートしてくれるタックルバランス(硬すぎないロッド、細いライン、引き抵抗の少ないジグ)を見直す。そして、釣行前後の身体のケアを少しだけ意識する。
これらを実践するだけで、「きつい」と感じていたスピニングジギングが、きっと「楽しい」ものに変わるはずです。ぜひ次の釣行で試してみてください!