こんにちは。ジギングナビ、運営者の「ジン」です。
ドテラ流し スロージギングって、ちょっと特殊なイメージありますよね。
バーチカル(タテ)の釣りとの違いがイマイチわからないとか、専用ロッドやリール、ラインキャパシティといったタックル選びが難しいと感じるかもしれません。
私も最初は、ライン角度の管理やオマツリの回避、特に一番難しい「底取り」のコツが掴めず、苦労しました。
でも、この釣りを覚えると、アカムツみたいな高級魚も狙えるようになるし、何より広範囲を探る戦略的な面白さがあるんですよね。
この記事では、ドテラ流しスロージギングの基本から、ジグの重さの選び方、実践的なテクニックまで、私の経験を交えながら分かりやすく解説していきますね。
この記事のポイント
- ドテラ流しとバーチカルの根本的な違い
- 専用タックル(ロッド・リール)が必要な理由
- 最難関「底取り」と「ライン角度」のコツ
- オマツリを防ぐための実践テクニック
ドテラ流し スロージギングの基本
まずは「ドテラ流しって何?」という基本の「き」から。
バーチカルな釣り(タテ釣り)とどう違うのか、どんなタックルが必要なのかを、しっかり押さえていきましょう。
ここが分かると、なぜこの釣りが有効なのか見えてきますよ。
バーチカルとの違い
オフショアジギングには、大きく分けて2つの船の流し方があります。それが「バーチカルゲーム(タテ釣り)」と「ドテラ流し」です。
バーチカルゲームは、船長がスパンカー(帆)やエンジンを使って船を風に立て、潮の流れに同調させます。
アングラーから見ると、ジグは船の真下、つまり「垂直(バーチカル)」に落ちていきます。
魚探に映った反応をピンポイントで直撃する釣りに向いていて、根が荒い場所でも攻めやすいのが特徴ですね。
一方、ドテラ流しは、船のエンジンを切って、風や潮の流れに船体を任せて(主に横向きに)流していく方法です。
すると、ジグは真下に落ちず、船が流される分だけラインが払い出され、「斜め」に入っていきます。
ドテラ流しのメリット
- 船が動いてくれるので、広範囲を効率よく探れる
- ジグが船から離れるため、船影やエンジン音によるプレッシャーが低い
- 片舷にアングラーが横一列に並ぶため、釣り座による有利・不利が出にくい
ドテラ流しのデメリット
- 風や潮がないと船が流れず、逆に強すぎると釣りにならない
- ラインが斜めになるため、「底取り」が非常に難しい
- 起伏の激しいポイントでは根掛かりが多発する
つまり、ドテラ流しは「広範囲を低プレッシャーで探る」という大きなメリットと引き換えに、「底取りの難しさ」という課題を抱えた釣り方だと言えますね。
専用ロッドの必要性
出典[楽天]
ドテラ流しに、なぜ「専用ロッド」が推奨されるのか。
それは、この釣りがラインを「斜め」に出すことに起因しています。
ドテラ流しでは、ジグの重さだけでなく、水中に出ている数百メートルのラインが受ける「水の抵抗」も、ロッドで支えなければなりません。
バーチカル用の繊細なスロージギングロッドでこれをやろうとすると、ラインの水の抵抗にティップ(穂先)が負けてしまい、ロッドをしゃくってもジグが持ち上がらず、意図したアクション(特にフォール)が出せないんです。
ドテラ専用ロッドは、この強大な「ラインの水抵抗」に負けずにジグをリフトできる適度な張り(パワー)と、スロージギングの「フォール」のきっかけを作れる繊細なティップを両立させた、特殊な設計になっているんですね。
リール選びとタックル構成
リール選びは、ドテラ流しスロージギングの快適さを左右する最重要ポイントかもしれません。
私が重視しているのは「ギア比」と「ラインキャパシティ」の2点です。
ギア比:パワーギア(PG)一択?
ジギングでは一般的にハイギア(HG)が好まれますが、ドテラ流しに関しては、私はパワーギア(PG)がおすすめかなと思います。
理由は「回収の負荷」です。
ドテラ流しは、ラインが150m、200mと斜めに出た状態からジグを回収します。
この時、ジグの重さ+ラインが受ける強烈な水抵抗がリールにかかります。
HGだと巻き上げトルクが低いため、この回収がめちゃくちゃ重くて、体力をゴリゴリ削られるんです。
PGのトルク(力強さ)は、この「回収負荷」を大幅に軽減してくれます。
手返し(回収して入れ直す作業)が多い釣りなので、この差は大きいですよ。
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ラインキャパシティ:最低300m、理想は600m
ラインキャパシティ(糸巻き量)は、絶対に余裕が必要です。近海のジギングでも最低300mは必須です。
ですが、中深海などディープドテラ(深場)に挑む場合は、300mでは全く足りない可能性があります。
水深150mのポイントでラインが300m以上出たり、水深200mで450m近くラインが出たりすることも珍しくありません。
もしPE300m巻きのリールで300mラインが出たら、スプールは空っぽです。
その状態で魚がヒットしたら…想像したくないですね。
高切れやファイトでのライン放出も考慮すると、PE1.5号~2号を600m巻けるリールがあると、一番安心できると思います。
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最適なジグの重さとは?
ドテラ流しにおいて、アングラーが唯一能動的にコントロールできるのが「ジグの重さ」です。
基本的な考え方として、バーチカルな釣りで使うジグよりも、ワンランク、ツーランク重いジグを選択します。
なぜなら、船が流れる速度(風や潮の速さ)に対してジグが軽すぎると、底に着く前にラインがどんどん横に流されてしまい、ジグが操作不能(フォールしない)状態になってしまうからです。
重いジグを使う = 流れに対抗し、ラインの角度を立てる(垂直に近づける)ための、ドテラ流しにおける最も重要な戦略です。
初心者のうちは、船長に推奨の重さを聞くか、まずは「これなら絶対に底が取れる」という重めのジグから始めるのが鉄則ですね。
アカムツ狙いのメリット
ドテラ流しスロージギングと聞いて、多くのアングラーが思い浮かべるのが「アカムツ」じゃないでしょうか。
この釣法がアカムツ狙いに非常に有効なのには、明確な理由があります。
- 低プレッシャーでのアプローチ アカムツは非常に警戒心が強い魚です。エンジンを切って、船を静かに流していくドテラ流しは、魚に与えるプレッシャーを最小限に抑えることができます。
- 広範囲のサーチ能力 アカムツは、特定の根に固まるというより、砂泥底のフラットなエリアに広範囲に散らばっていることが多いです。ピンポイントで探るバーチカルよりも、船を流して「線」で探っていくドテラ流しの方が、効率よく魚を見つけ出せます。
- スローなフォール スロージギング特有の、ジグがヒラヒラと水平に落ちる「フォール」のアクションが、アカムツの捕食本能を強く刺激します。
この「低プレッシャー」「広範囲サーチ」「スローなフォール」という三要素が完璧に噛み合うのが、ドテラ流しスロージギングなんですね。
ドテラ流し スロージギング実践術
基本がわかったら、いよいよ実践です。
この釣法で誰もがぶつかる「底取りの壁」や「オマツリ」をどう回避するか。ライン角度の管理など、釣果に直結するテクニックを解説しますね。
最難関、底取りのコツ
ドテラ流しが難しい最大の理由。それが「底取り」です。
バーチカルな釣りなら、ジグが着底すればラインの放出が「ピタッ」と止まるので、誰でも分かります。
しかし、ドテラ流しでは、ジグが着底しても船は流れ続けているため、ラインは(ゆっくりと)出続けます。
では、何で着底を判断するのか? それは、ライン放出の「速度の変化」を指先で感知することです。
ドテラ流しの着底サイン
ジグが(速く)自由落下している状態から、着底した瞬間、スプールから出ていくラインの速度が「フワッ」と一瞬止まるか、「船が流れる速度(=ゆっくりとした速度)」にガクンと減速します。
この、スプールをサミング(軽く押さえている)している指先に伝わる、本当に微妙な「速度の変化」を感じ取ることが、この釣りのキモです。
慣れないうちは、この変化に気づかず、ラインが際限なく出て行ってしまいます。
まずは、2〜3回底を取り直したら、たとえアタリがなくても一旦回収して入れ直す。
この「こまめな入れ直し」を徹底するのが、上達への一番の近道だと思います。
ライン角度の管理方法
ラインの角度は、自分のジグが操作可能な範囲にあるかを示す「バロメーター」です。
ラインが水面に対して寝すぎている(角度が浅すぎる)状態では、ジグは操作できません。
ディープドテラのタイラバの例ですが、非常に参考になるデータがあります。
| ライン放出量 | 巻き上げ角度(目安) | 状況 |
|---|---|---|
| 150m | 約40度 | 理想的な状態。リフト&フォールが可能。 |
| 300m | 約20度 | 限界域。ほぼ横引き。スロージギングは困難。 |
| 450m | 約10度 | 操作不能。底引きずり状態。 |
ラインが寝すぎる(目安として30度以下)と、ロッドをしゃくってもジグは持ち上がらず、ラインが伸びるだけ。
スロージギングの「フォール」が成立しません。
ただ底を引きずるだけになり、根掛かりが多発する最悪の状態になります。
ラインの角度が浅くなってきたと感じたら、それは「ジグを重くする」か、「回収して入れ直す」かの判断をすべきサインですね。
独特なしゃくり方を解説
ラインが斜めに入っているドテラ流しでは、バーチカルの時のように「1ピッチ1ジャーク」を小気味よく繰り返すアクションは、あまり効果的ではないかなと感じています。
私が意識しているアクションのイメージは、「横へのスライドフォール」を演出することです。
- ロッドを大きく、ゆっくりと持ち上げてジグをリフトします。(ジグは「手前斜め上」に移動)
- ジグが持ち上がった頂点で、意図的にラインテンションを抜いて(送り込んで)、フォールさせます。
- この時、ジグは「斜め前方下」へスライドするようにフォールします。
バーチカルの「縦のフォール」に対し、ドテラ流しは「横のフォール」。このフォール時間を長く取って、いかに魚にジグを見せ続けられるかが勝負だと思っています。
オマツリ回避の重要テク

ドテラ流しは、構造的にオマツリ(他の人のラインと絡むこと)が非常に発生しやすい釣りです。
自分が釣りをできないだけでなく、周りの人にも迷惑をかけてしまうので、回避テクは絶対に必要です。
オマツリの最大の原因は、隣の人との「ライン角度の違い」です。
オマツリ回避の鉄則
- ① オモリ(ジグ)の重さを周りと合わせる これが一番重要です。自分だけ軽いジグを使うと、ラインが寝すぎてしまい、隣の重いジグ(ラインが立っている)を使っている人のラインの上を覆いかぶさるようにクロスし、必ずオマツリします。船長の指示に従うか、周りの人と重さを揃えるのは「協調性」の問題ですね。
- ② 底を取りすぎない(底に付けすぎない) 最難関の「底取り」と繋がりますが、着底に気づかずラインを出し続けると、自分のラインだけが極端に寝てしまい、オマツリの原因になります。
この2点を全員が守るだけで、オマツリは劇的に減らせるはずです。
ラインキャパシティの目安
タックルの項目でも触れましたが、ラインキャパシティは本当に重要なので、改めて。目安として、最低でも「水深の2倍」はラインが出る可能性があると考えるべきです。
近海(水深50m~80m) PE1.5号~2号を最低300m。これでもギリギリの場面はあるかもしれません。
中深海・ディープドテラ(水深150m~) 水深200mのポイントで、平気で400m、500mラインが出ることがあります。PE1.5号~2号を600m巻けるリールが、絶対的な安心感に繋がります。
「ラインキャパシティは、大は小を兼ねる」です。ファイト中にラインを出されることや、高切れでラインを数十メートル失うことも考慮すると、糸巻き量は「多すぎる」くらいでちょうど良い、と私は思います。
ドテラ流し スロージギング上達法
最後に、ドテラ流し スロージギングを上達させるために、私が意識しているポイントをまとめますね。
- 何よりも「底取り」の精度を上げる これができないと、根掛かり連発で釣りが始まりません。まずは「速度の変化」を感じ取ることに全神経を集中させてください。
- ライン角度を常に意識する ラインが寝すぎたら、それは「釣れていない」シグナルです。ジグを重くするか、面倒くさがらずに回収する勇気を持ちましょう。
- オマツリ回避を徹底する ジグの重さを周りと合わせる。これは自分のためであり、船全体のためでもあります。
- 魚探とのタイムラグを理解する 船長が「反応出たよ!」と言っても、それは「船の真下」。あなたのジグは、その反応の数十メートル先(風下)にあります。このタイムラグを計算してアプローチできると、釣果が変わってくるかもしれません。
最初は難しく感じるかもしれませんが、この「斜めの釣り」をマスターすれば、バーチカルでは反応させられなかった魚に出会えるチャンスが格段に広がります。
風や潮を読み、ライン角度をコントロールして、状況に合わせて自分なりの戦略を組み立てる面白さが、この釣りの最大の魅力だと思いますよ。